財務分析やWeb解析、ビジネスシーンで出てくる重要な指標、読めたらかっこいいと思いませんか?

ナントカ率とかでしょ?
難しくて、勉強する気にならないよ…

指標の多くは割合(%パーセンテージ)です。
難しく感じるのは、実は「定義」のところなんです。

定義とは?

定義とは、決まりのことです。
「○○率は××という計算をする」のように決めた計算のところです。

ん??
それだけ?

そうなんです!
定義を知っているかいないか、
または覚えているかいないかの違いです。
会社の財務分析をしたい、サイトのアクセス解析をしたい、と思っている方はいませんか?
でも分析は難しいから~と避けている方って意外と多いんです。しかし、学んでみたらよくわかります。
「な~んだ。ただの割合・%パーセンテージじゃないか!」と。
そこで、今回は、第6回「割合・%パーセンテージ」について考えてみたいと思います。
前回までの数学講座をまだ読まれていない方は、是非こちらもご覧ください。第1回「数字の力」、第2回「図形の力」、第3回「論文的思考」、第4回「問題解決力」、第5回「関数」です。
・割合、%パーセンテージとは?
・財務分析やWeb解析の指標とは?
・割合ができるとどうなる?
国立大学理学部数学科卒業。教育職13年経験、その後転職し現在は事務職。急速に変化するデジタル社会での生き残りをかけ、Webリテラシーを勉強中。独学で勉強されている方を応援し、独学の推進へとつながる記事を執筆中。

目 次
1. 割合・%パーセンテージとは?

割合とは、ある量をある基準と比較したときの値のことです。言葉だと少しわかりにくいので、例で考えてみましょう。
【例】
ここに、缶ジュースが1本あります。
そして、Aさんが半分飲みました。
ある基準を「缶ジュース1本」としましょう。そして、ある量を「Aさんが飲んだ半分」とします。この「Aさんが飲んだ半分」を缶ジュースの1本と比較した値が割合です。
缶ジュースの1本の量が100mlだったとしましょう。その半分は50mlですね。このようにある基準を100として比較した値の単位を%(パーセンテージ)といいます。この例に戻ると、Aさんは缶ジュースの50%を飲んだということになります。

それでは「ある基準を10」として考えると
どうなりますか?

え~と、
10の半分だから5?
そうですね!10の半分は5です。このようにある基準を10として比較した値の単位を割(わり)と言います。 この例に戻ると、Aさんは缶ジュースの5割を飲んだということになります。
2. ビジネス指標も割合・%パーセンテージ

ビジネス指標の代表として、決算書のデータ(財務分析)で考えてみましょう。

「粗利率」という言葉は聞いたことがありますか?
「粗利率」とは、販売している商品からどれくらいの利益が生まれているかを表したものです。具体的には、次の式で求めることができます。
「粗利率」とは、次の計算で求めた「 売上高営業利益率 」のことをいいます。
売上高営業利益率(%) = 売上総利益 / 売上高 × 100
売上高は、販売している商品の売上のことです。売上総利益は、売上から商品の仕入れ原価を引いたものです。これを割り算し、割合・%パーセンテージとして表したものが「粗利率」なんです。
この計算式を知っているか知らないかの違いなんです。計算式自体は難しくないですよね。売上と原価が分かれば、簡単に求めることができます。計算したくない場合は、電卓を使うまたはExcelの数式を使えばあっという間に求めることができます。
財務分析が難しいのは、「なぜ粗利率が大切ですか?」「この粗利率のデータをどのように活かしますか?」なんです。
でも、どうしてもこの問題に向き合う前に計算式が登場しますので、財務分析は数式があって難しいと勘違いをしてしまうことがあるんですね。また、難しい専門用語につまずいてしまう方もいらっしゃるようです。
そして、粗利率を計算する理由は簡単です。粗利が多ければ多いほど、現金(経費等を引いた本当の利益)が増えるからです。そこで、粗利率として数値化(割合・パーセンテージ)にしておくことで、各店舗ごとの比較や経年比較などを簡単に行うことができます。
これが割合・%パーセンテージを使う利点です。
3. Web解析でも割合・%パーセンテージ

それでは次にWeb解析で考えてみましょう。
例えば、Web解析では、ブログやお店のホームページなどのアクセスデータからユーザーを理解していきます。その中の指標でを見てみましょう。

「直帰率」「離脱率」という言葉は聞いたことがありますか?
「直帰」とは、ユーザーが最初に見たページから他のページへ移動せずに離脱(そのサイトを見ることをやめること)することを言います。
「離脱」とは、ウェブブラウザを閉じたり、他のサイトへ移動するなど、現在のサイトを見ることをやめることを言います。
直帰率 (%) =直帰数/セッション数 × 100
離脱率(%) = 離脱したページビュー数 / ページビュー数 × 100
※(補足)セッションとは、ウエブサイトにアクセスしたユーザーが最初に見始めてから見終わるまでの行動のことを言います。セッション数はその数ですが、簡単なイメージはユーザーが訪問した数と思ってください。
※(補足) ページビュー数は、ページを見た回数です。
Web解析の場合も、財務分析と同様ですね。初めて聞く専門用語に惑わされて、数式があるから難しいと勘違いをしてしまうんです。よく見ると、ただの割合・パーセンテージですよね。
4. 割合をマスターすれば、この力が身につく!

①比較が簡単にできる!
最近の事例で最もよくわかるのが新型コロナウイルスの感染者数です。しかし「東京都で10,000人」というのと「鳥取県で10,000人」では全然違うんです。なぜかわかりますか?

東京都と鳥取県では人口が違いますよね!
そうなんです。人口1位の東京都は14,047,594人、47位の鳥取県は553,407人です。(※令和2年国勢調査2020/10/1)
感染率にすると、同じ100人でも東京都は0.07%、鳥取県は1.8%です。比にすると1:25程度ですので、鳥取県での感染者数1に対して東京都の25が同じ程度だと考えることができます。
このように、人口が違う都道府県でも割合・パーセンテージを使って表すことで比較が簡単にできるようになります。
②目標の設定、目標の進捗率が簡単に!

割合を利用して、目標を数値化しましょう!
目標の設定ではよく数値化が使われますよね。この数値化でも割合・パーセンテージを使うと簡単に表すことができます。
例えば、昨年よりも売上を増やしたいとします。しかし、「昨年よりも少しでも増やそう」では分かりにくいですよね。
昨年の売上が100万個、今年はその半分の50万個増やしたければ、150%達成を目標とすることができます。「第一回やり直し講座(数字の力)」でも書きましたが、数字で表すことは個人間の認識の誤差を限りなく減らすことができます。
目標の進捗状況を表す際も、割合・パーセンテージを使うと便利ですね。グラフ等を利用し視覚化すると、さらに伝わりやすくなります。
③予測ができる!
割合・パーセンテージは色々な予測に利用されています。
例えば、12月に入り「昨年度より仕入値が上がり経費がかさんでいる」ことがわかりました。現在は12月です。社長からの次のような依頼がありました。どうします?

12月までの経費実績から、
3月までの経費を予測してくれ!
割合を使えば簡単です!
①昨年度の4月から3月までの1年間の経費実績を出す。
②昨年度の4月から12月までの経費実績を出す。
③割合にする。(②÷①)
④今年の4月から12月までの経費実績を出す。
⑤昨年の割合を今年にあてはめる。(③×④)
Excelがあれば3分で十分ですね!
基本の予測があれば環境要因等を加えていくことで、さらに正確な予測につなげることもできますね。
④確率の基礎が身につく!
割合と確率は同じような意味があります。

例えば、くじ引きの当たり1割(10%)の意味は?
割は、比較する元のデータ(ここではくじ全体)を10としたとき、対象のデータ(ここでは当たりくじ)が1あると考えます。簡単に言うと、10回に1回当たるということです。
%は、比較する元のデータ(ここではくじ全体)を100としたとき、対象のデータ(ここでは当たりくじ)が10あると考えます。簡単に言うと、100回に10回当たるということです。
10回に1回当たる確率は1/10、100回に10回当たる確率は10/100=1/10(約分)で同じ意味になります。
⑤データの嘘を見抜ける!
「①の比較が簡単にできる!」で新型コロナウイルスの感染者数の違いについて説明しました。
「東京都で10,000人」「鳥取県で10,000人」の違い、覚えていますか?

人口が違うもんね!
そうです!このようにデータを上手に利用して嘘の記事(不安を煽る記事)が書いてあるのをよく見かけます。
確率で大事なのは分母です。比較する対象を、同じ条件にすることが大事です。そこを上手に隠して、いかにも一大事が起こっているかのような記事が多いんです。
割合を勉強した後は確率を勉強しましょう!嘘の記事を簡単に見抜けるようになりますよ。
5. 今日からあなたも割合マスター!
勉強って意外と始めてみると「簡単!」って思える内容があるんです。割合もその一つです!ぜひ一度学び直ししてみませんか?
私の勉強スタイルは、とにかくまず独学で挑戦です。最初に取り掛かるのは読書です。似たような本を何冊も読みまくります。何冊も読んでいるうちに一番大切なことがわかってきます。一番大切なことはどの本にも書かれていますので、当然ですね!
幾つかおすすめの本を紹介します。あなたの武器となる本が必ず見つかるはずです。
いかがでしたか。次回の「大人のやりなおし数学講座」も是非よろしくお願いいたします。
また、前回までの数学講座をまだ読まれていない方は、是非こちらもご覧ください。第1回「数字の力」、第2回「図形の力」、第3回「論文的思考」、第4回「問題解決力」 、第5回「関数」です。
